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コラム:『デモンズソウル』、難しいゲームの魅力とは

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ドラゴンに丸焼きにされ、槍で串刺しにされ、斧で切り殺されたりとたりと死にまくりになるゲーム、『デモンズソウル』。皆さん楽しめていますか?

高難易度なのに、北米市場で予想外の人気を博している本作。米Kotakuのコラムニスト、リー・アレクサンダーさんがその魅力に迫ります。
 

 
『デモンズソウル』は遊んでいて楽しいゲームではありません。事実、開発者も「楽しいゲームではない」と断言しています。主人公の育成は難しく、回復アイテムも限られていて、装備はどんどん消耗される、そんなアクションアドベンチャーゲームです。

ひねりが効いているのが、主人公が死亡すると自身の肉体を取り戻すというかすかな希望にすがり、亡霊というより弱い存在となってダンジョンをさまようところ。つまり失敗するたびに難しくなるのです。

しかしそれでも病み付きになる

なぜかわかりませんが、遊ぶのがやめられないんです。だって普通は万人受けするゲームに人気があって、フラストレーションがたまるゲームは興冷めするはずですよね。ここまで難しいゲームにどんな魅力があるのか

 
最近のゲーム業界では「ユーザーの拡大」と「万人受け」が重要なキーワードとなっています。Microsoft Game Studiosのブルース・フィリップ氏が最近公開した調査では、もっともクリア率が高いXbox 360のゲームでも、ゲーマーは平均して満点の半分しかゲーマースコアを獲得しないことが明らかになりました。

そして30%のユーザーはゲームのクリアすらしないことがこの調査で明らかになっています。フィリップ氏や多くの万人向けゲーム開発者達は、ゲームをあきらめる一番の原因がユーザーのフラストレーションにあると分析します。

しかし、『デモンズソウル』は明らかにフラストレーションがたまるゲームであるにもかかわらず、失敗すればするほど次は成功したくなるのです。それはなぜなのか?

 
『デモンズソウル』のプロデューサーである梶井健氏によれば「ゲームが魅力的であるためには必ずしも万人受けする必要はない」と語ります。「ゲームを万人向けにすれば確かにユーザー層は広がるかもしれないが、すべてのゲームが万人向けになったら同じものばかりで飽きてしまう」と梶井氏は言います。

梶井氏は『デモンズソウル』を作るにあたってゲームの面白さとは何かを見つめなおし、挑戦、発見、達成感3つの要素に注目しました。「この3つの要素で『デモンズソウル』が難しくなっているという人がいるが、ただ難しくするために難易度を上げているわけではなく、それをウリにするつもりもない」そうです。

高難易度のゲームが人気を博すことはもちろんあります。例えばインディーズゲームの『Spelunky』なんかは発見や達成感といった面白さがゲームの難しさによって最大限に生かされています。『Spelunky』のクリエイターであるデレック・ユー氏は「難しいチャレンジはゲームをより楽しめるものにすると思う。みなさんも何か大変なことを乗り越えたときに一番やりがいを感じませんか? 自分が上達していると感じることができなければ、ゲームは満足するためにやるのではなく気を紛らわせるためにする雑用になってしまいます。」と語ります。

イライラするだけのフラストレーションではなく、効率のよい難易度にする秘訣はゲーム作り方しだいです。「難しいことをすること自体は面白くない。空き部屋で頭の上にボールを10時間のせるのも面白くないですよね。チャレンジを面白くするには興味深い世界観深いシステムを構築し、遊んで面白く、熟練するのも満足できるようにするのです。」とユー氏はゲームの難易度のバランスについて言います。

Hothead Gamesのゲームプレイプログラマーであるネルズ・アンダーソン氏も、フラストレーションと意味あるチャレンジの境界線を引くことが重要だと考えています。「(ゲームに対して)イライラするということはプレイヤーがこれ以上進歩ができないと感じているということだ。『デモンズソウル』が成功した理由のひとつが、プレイヤーがなぜ失敗したのか理解できるようになっているからだろう。」とアンダーソン氏は語ります。

梶井氏はプレイヤーが達成感を感じるには失敗が常に可能性として付きまとわなければいけないとの姿勢を示します。「プレイヤーが注意していなければ死ぬかもしれないようにデザインしました。このような緊張感を保つことでプレイヤーは常に緊張していますが、それによって大きな達成感も感じます。」と梶井氏は『デモンズソウル』のゲームデザインについて言います。

 
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失うものが多いほうが達成感も大きく、失敗もプレイヤーがなぜ失敗したのか理解できればフラストレーションは減ります。「『デモンズソウル』はたくさん死ぬゲームです。しかしそれが自分のせいだということがわかる方向にできています。」と梶井氏は言います。「プレイヤーは想像力を使って違ったアプローチをとることによって、次はその地点を越えられるとわかっているからプレイし続けるのでしょう。」

つまりイライラする死も『デモンズソウル』のようなゲームでは自分の戦略が間違っていたことを示唆するためにあるのです。ゲームの仕組み自体も失敗をゲームのせいにできないようになっており、失敗も理不尽には感じません。成功するまで同じ障害を違う戦略で攻めるので、勝利したときの満足感は失敗の数に比例します

「ゲームの中での死はテニスに負けたり、デートの誘いを断られるようなものだ。絶対に次の成功につながる学習ができる。」とユー氏は言います。さらに彼は死が楽しければ楽しいほどいいとも言います。『デモンズソウル』も死にに対して面白いひねりがきいています。

 
このゲームのマルチプレイ要素のひとつに、先に死んだ仲間の血痕に触れることで彼らの死の状況がわかるようになっています。また、プレイヤーはメッセージを残すことで、ほかのプレイヤーに先にある難関について知らせることができたり、他のプレイヤーの亡霊を味方につけて冒険を助けてもらうこともできます。他人を助けるという要素は梶井氏が雪山で車が動かなくなったときの実体験からきているとのことです。

雪山で車が引っかかってしまった人たち全員がお互いに助け合いましたが、また自分の車が動かなくなってしまう恐れがあったため梶井氏は助けてくれた方々にお礼を言うことができずに去らなければならなかったそうです。ここで梶井氏の頭を「最後の人が無事帰れただろうか、この人たちにまた会うことがあるのだろうか...? もし出会ったら友達になれるかもしれない」というさまざまな思いがよぎりました。他人を無償で助けるということが記憶に残り、長い間そのことについて考えたそうです。

「『デモンズソウル』は何回も死ぬゲームなので他の人と協力するというのがうまくフィットすると思いました。みんなすぐ死ぬから協力しよう、というシンプルな理由です。他のRPGと違って、それぞれのプレーヤーが自分のストーリーを紡いでいくので、他のプレイヤーとの出会いはその体験を広げるものです」と梶井氏は本作の協力要素について説明します。

ゲームデザイナー達がプレイヤーがゲームをクリアしなくなることを危惧するのは正解です。そして初心者にもわかりやすいゲームで客層を広げることも正しいことです。ある一定のところまでは。「プレイヤーのフラストレーションを避けるため、ゲームの内容自体が難易度と共に薄れている」とアンダーソン氏は言います。さらに「プレイヤーが簡単なゲームを求めているというのはよくある勘違いだ」と付け加えます。

さらに彼はMITのGambit Game Labのジェスパー・ジュール氏の研究を要約し、「プレイヤーは難しすぎるゲームよりも、簡単すぎるゲームに対してのほうが評価が厳しい。難しいゲームは上達することで面白くなるかもしれないが、簡単なゲームを難しくすることは不可能だ。しかしプレイヤー達がこれ以上上達できないと感じたとき、高難易度ゲームの評価は一気に下がる。」と言います。

その死が意味のあるものでそこから学習できる限り、頻繁な死とフラストレーションが必ずしもゲームを悪くするわけではありません。プレイヤーのフラストレーションが、ゲームに対してではなく自身に対してである限りは。一番重要なのは、プレイヤーが次は何を変えてみればよいのか明確にされていることです。

もちろん、自分が成功した戦略が他のプレイヤーの戦略と同じとは限りません。その戦略はある環境での試行錯誤や経験から、自らの能力を使って生まれたものなのですから。

「緊張感のある空間で試行錯誤することが挑戦と発見の核心であり、そこから強い満足感が生まれる」と梶井氏は言います。「『デモンズソウル』は楽しいゲームではありませんが楽しむためのゲームです。このゲームの目的はあらかじめ決められた答えを探すのではなく、プレイヤーが独自の答えを編み出すことなのです。」

 
Leigh Alexander(原文/ニール太平)

 

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Demon's Souls(デモンズソウル)


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