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スーパーコンピューターでゲームキャラのAIを人間の様に「愚か」にできるか?
クイズ王者を破るほどの人口知能があれば、ゲームはもっと面白くなる?
IBMのスーパーコンピュータ「ワトソン」が米人気クイズ番組「Jeopardy!」にて、番組王者であるケン・ジェニングスさんとブラッド・ラターさんの2人に圧勝したのは記憶に新しいところです。では、果たしてこのテクノロジーをゲームに応用することは可能なのでしょうか?
米Kotakuのクレセンテ編集長が業界人の意見を訊いてみました。
きっかけはゲームデザイナーであるギリアム・ディバイン氏の同番組放送翌日のツイート。「ゲーム企業がスーパーコンピュータを応用し始めるのはいつなんだろう?」 そんなふとした疑問でした。
アップルのゲーム部門を率いた経験を持ち、GRL Gamesの創始者である彼のスーパーコンピュータに対する考えとは? そして彼ならそのテクノロジーをどうゲームに生かしていくのでしょうか? ズバリ尋ねてみました。
ギリアム・ディバイン氏から見た「ワトソン」
僕が「ワトソン」を見てまず気づいたことは、僕たちは知らず知らずのうちに巨大な「人口知能」をすでに作り上げていたという事実です。
僕に言わせれば「ワトソン」は超高速のグーグル検索マシンです。ウィキペディア、TMZ(米セレブ系ゴシップサイト)、その他もろもろを行き来しながら情報を吟味し、問いに対する答えを見つけるもの。それって僕たちが普段やっていることと全く同じですよね? 「えーと、この俳優はどんな作品に出てたんだっけ?」そんな時はiPadを手にしてグーグル検索してますよね。
つまりここでいう「知能」というものはすでに存在しているわけです。それは問いに対する答えであり、現在のインターネットの姿そのもの。今や「人工知能」とは学習機能ではなく、単に巨大なデータの理解能力を意味しています。
○×ゲームに始まり、ポーカー、チェス、そして『Halo: Reach』と、ここ数十年の内にコンピュータは何度も人類を打ち負かしてきました。ですが、今回の「ワトソン」はこれまでとは違ったタイプの人工知能だとディバイン氏は主張しました。
人類がコンピュータや言語、プログラムについて探求していくうちに、僕らがそこから連想するものはデスクトップやソースコードだけになってしまいました。その感覚はここ30年間変わっていませんよね。チェスやクイズ対決ならそれで構いませんよ。
しかしより高い次元を目指すのであれば、その感覚から抜け出さなければ。
クリス・ブッチャー氏から見た「ワトソン」
ディバイン氏とは対照的に、『Halo』シリーズを手がけたBungieのエンジニアリングリーダーであるクリス・ブッチャー氏は「ワトソン」の存在を好意的に受け止めています。新世代、そして新たなタイプの人工知能である「ワトソン」が示した自然言語処理における飛躍は、ゲームにも応用できる大きな可能性を見せていると言うのです。
「ワトソン」のオペレーションは複数階層にて行われ、様々なテクノロジーの集大成となっています。会話を理解し、自然な反応を返す能力、膨大な量の情報をすばやくソートする能力、そしてある程度の思考能力などが挙げられます。
自然言語処理、そして対話エンジンのゲームへの応用としては、大きく分けて以下の2点が考えられます。
まずはインターフェースをシンプルにする事で、自分の言葉でゲームを楽しむことが可能になります。そして自然言語処理、対話エンジン、ジェスチャー認識を組み合わせることで、あたかも現実世界の延長のようなゲーム体験が実現します。
ブッチャー氏は、将来このテクノロジーが実現すると、ゲーム企業は新たな問題に直面するだろうと考えています。というのも、コンピュータ操作のキャラクターの動作、言動に少しでも不自然さがあれば、ユーザーに不快な思いを与えかねないためです。
たとえ自然言語処理が実際にゲームに導入され始めたとしても、自然言語を使うゲームキャラクターが登場するのはずっと後のことになるでしょうね。
人間の表情を表現するのに、どれだけ長い間「不気味の谷現象」に悩まされてきたか、という点を考えると分かりやすいのではないでしょうか。今はまだ自然言語処理をゲームに導入する時点にも至っていないわけですから、実現はまだずっと先の事になりそうです。
AIを人間と同じくらい「愚かに」
ここでディバイン氏が指摘したのは、単にコンピュータ操作のキャラクターをより賢く、処理を高速にすれば良いというわけではなく、人間と同じようにミスをする存在にしなければならないという点でした。
大事なのは、優れたAIとは人間と同じくらい「愚か」に見えるものだという点。
当時『Quake 3』のトレーニング用ボットを作成したんですが、あまりにも強すぎました。常に完璧な立ち回りで、まさにそれがAIの問題点だったんです。
賢いAIはいつも同じ動きはせず、学習し適応するものです。「ワトソン」にそれが出来ますか? 無理ですよね。
現在のゲームに見られる人工知能システムには常に何かしらの問題点が見受けられる、とディバイン氏は言います。それらは大抵速すぎたり、精確すぎたり、時にはチート級の強さだったりします。
午前中にはリアルタイムストラテジーゲームを教えて、午後には『コール オブ デューティ』を教えられたりするような、新しいアプローチによるAIが誕生したら面白いですよね。
賢く、それでいて賢すぎず、という微妙なさじ加減のAIが現在のゲームには求められているということですね。これについてブッチャー氏は以下のように語りました。
優れたAIはプレイヤーが期待した通りの、それでいて全くの予想通りまでとはいかない反応を返してくれるものです。
プレイヤーの狙いや動きをAIが読み取り、期待通りの反応を返してくれることで、毎度新鮮なゲーム体験が得られるわけです。僕自身AIに驚かされるのは好きですし、それがあるからこそ面白く感じ、中毒性も高くなるんですよね。もしゲームに驚きや即興性が無ければ、筋書き済みの一本道にしか感じられません。そんな作品は一度だけプレイされた後、棚でホコリを被るのがオチです。
ディバイン氏は「ワトソン」がゲームキャラクターのAIの未来への鍵となることに否定的ではありました。その代わりに彼がスーパーコンピュータに期待していたのは、既に存在するゲームをより良くすることではなく、ゲーム開発自体へのより大きな変化です。
『World of Warcraft』のコンパニオンが不自然な動きをしなくなるとか、そういうことではないんです。
もしかしたらスーパーコンピュータの導入によって将来新たなジャンルのゲームが生まれるかもしれない。ひょっとしたら優れた人口知能によってデータの理解を基とするゲームを新たな次元に導くかもしれない。僕が期待しているのはそういうことです。
少々難しいお話でしたが、2人のゲーム開発者の「ワトソン」に対する考え方が非常に対照的で、なかなか興味深いものだったのでは。
いずれスーパーコンピュータがゲームに応用された時、どのような作品が生まれるのかとても楽しみですよね。最後に米Kotakuに寄せられたコメントを1つご紹介します。
icepick314:『ラブプラス』に「ワトソン」載せたらすごいことになるんじゃね?
未来を感じさせる一言でした。
Can A Super Smart Computer Teach Game Characters To Be As Stupid As Humans? [Kotaku]
(上原理)

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2箇所”人口知能”になってますよ