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『バットマン:アーカムシティ』レビュー:キャラクターゲームとしては最高傑作

他のヒーロー物とはひと味違うバットマンシリーズ。暴力の裏に潜む主人公の孤独感には何か憂いを感じます。
アメコミを含め、ライセンス物をゲーム化するのは、開発者にとって従来のファンの期待を裏切るリスクを背負う事がある中、ロックステディー・スタジオが2009年に贈りだした『バットマン:アーカムアサイラム』は、期待を上回る力作でした。
そしてついに続編である『バットマン:アーカムシティ』が全世界でリリースを果たしました。本作を手にした米Kotakuトティーロ副編集長のレビューを以下でどうぞ。
『バットマン:アーカム・シティ』は、2009年にリリースされ大ヒットとなった前作『アーカム・アサイラム』の1年以上後が舞台です。
今作は、前作の良質な格闘とステルス・システムを引き継ぎつつ、今度は大都市である「アーカム・シティ」を舞台にそれらを採り入れました。ここでは前作と違い、裏道や屋根上、博物館の中や工場内、乗っ取られた警察署などでバットマンのアクロバティックな戦いや忍びが繰り広げられます。ゲームのメインストーリーに従って向かう場所もあれば、前作より箱庭敵要素を持った街を探索する事も可能。アーカム・シティは極悪非道そのものであり、バットマンが活躍できる場面が盛りだくさんに用意されています。
『アーカム・シティ』をプレイしていて気づくのは、前作のクオリティが全く薄れない事です。前作はストーリーを一直線で追っていく形式でしたが、今作はストーリーをより自由に解決し、時にはサイドクエストに夢中になることもできます。しかし、前作よりも自由度を持つ『アーカム・シティ』をプレイするにあたり、プレイヤーは集中力がないと豊富なサイドミッションに気を取られてしまう恐れもあります。15分内でクリア可能なミッションもある中、ほとんどのものは時間を必要とし、中には数日の努力を要求するミッションもあります。
前作『アーカム・アサイラム』に登場した悪役には、活躍する場面がより多く与えられました。このような拡大化の流れは、80年代後半から90年代前半に公開されたバットマン映画と類似しているのは言うまでもないでしょう。悪役を増やし、脇役を増やし、ガジェットも膨大になった映画シリーズは、上映時間内にすべてを収める事ができず、映画関係者の才能もその拡張に追いつく事ができなくなりました。
その反面、『アーカム・シティ』は上手に物語を拡大することに成功したと言えるでしょう。ストーリーの節目ごとに、新しい悪役が現れたり、昔の悪役の復活があります。しかしストーリーが幕を閉じるにつれ、キャストの多さを過度に感じたのも事実。登場時間が長いジョーカーや、キャラクターとしてのストーリーラインが最後まで語られるミスター・フリーズなどの悪役は、1回きりの対決で姿を消してしまう悪役より人物像が深く描かれ面白みがありました。ただ、一部の悪役は噛ませ犬となる場面も多く、これがシリーズのこれからの弱点とならないか不安にも感じました。
「リドラー・チャレンジモード」では約200のチャレンジが用意され、ハイスコアを狙ったり、難易度が高いアレンジマップを生き残るなど遊び方は人それぞれ。この『アーカム・シティ』をまるでアーケードゲームに変えたかのような、やり甲斐のある楽しいものとなっています。ストーリーやレベルアップといった要素を除去してまでも、ゲームの基本要素だけで楽しめる作品はごくわずか。それを見事に達成したロックステディーの二部作は、永久の名作への仲間入りを果たすでしょう。
本作は『アーカム・アサイラム』から一層改善された戦闘システムを採用しています。前作と同様、敵から敵へと自由に流れる形式は残しつつアニメーションパターンを増やし、技の種類を追加し、道具などをつかう戦闘中の動作もより多く用意。戦闘はバリエーション豊かで新鮮な仕上がりです。そのうえ敵の反応もすべて異なり、これによりプレイヤーは瞬間的な判断力を要求されます。ゲームを進めて行くうちに、複数の敵タイプを同時に相手にするようになり、より深みのある戦闘が繰り広げられることに。本作の戦闘システムこそが、プレイヤーの素早い知恵を試すゲームの見せ所となっています。
バットマンが相手にする悪役が大幅に増えた一方、仲間の数もわずかながら増えます。キャットウーマンとして街を探索するモードはDLCとして配信されており、『アーカム・シティ』をより楽しむには、不可欠な内容となっています。ただしロビンの登場場面は僅かであり、ナイトウィングなどはリドラーのチャレンジモードにしか現れません。キャットウーマンだけが唯一ストーリーで大きな役割を果たし、プレイヤーが操作できる人物となっています。
総評
バットマン神話を全体的に見た上で、『アーカム・シティ』は原作に登場する人物を見事に揃えた壮観なリミックスと言える程の作品です。近年のクリストファー・ノーラン監督の映画よりも『バットマン』の世界に入り込むことを実現した前作『アーカム・アサイラム』の体験を拡大したものとなっています。ただ原作コミックのファンとしては、客観的に見るとゲーム独特の内容が若干不足していると感じる事が多少残念ではあります。
しかし本作を主観的にみた場合、『アーカム・シティ』に匹敵する現代のゲーム体験はほとんど無いと著者は考えます。ストーリーの展開や能力の進展などが無かったとしても、この作品はダイナミックで刺激的かつ個性豊かなキャラクターが勢揃い。ボリュームは十分すぎるほどでゲームプレイは非常に優れたものと言えるでしょう。
唯一のリスクは、今後『バットマン:アーカム・シティ』以上の完成度の「バットマン」ゲームが現れるかどうかということかもしれません。
『バットマン:アーカムシティ』はPS3、Xbox 360向けに発売中。来年発売予定のWii Uにも対応する予定です。
Batman: Arkham City: The Kotaku Review [Kotaku]
(サチ・コクスン)

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