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[コラム]『アングリーバード』の母国フィンランドではボードゲームが人気

フィンランドのボードゲーム事情


サウナから飛び出し、池の冷たい水にダイブする。7月、強い日差しが池に落ちかけ、池で泳いでいた友達がサマーコテージに帰ってきた。友達とビールを飲みながらわいわいとゲームを始める。Xbox 360とWiiを横目にみんなでプレイするのは...ボードゲーム!?

そうなんです。フィンランドでは今でもボードゲームが人気なんです。その人気の謎を探ってみました。
 

 
総合スーパーに行けば、家庭用ゲーム機向けゲームがPS3、Xbox 360、Wiiそれぞれに棚一列づつ並んでいます。でもボードゲームの棚は、ゲーム機2種類分と同じぐらいの規模があるんです。そこに並ぶのは、数歳から楽しめる数かぞえやアルファベットを覚えるゲームから、日本でもお馴染みの『ウノ』、ムーミンもの、「レゴ」が双六になったものまで多種多様です。中にはフィンランドの大人向け私立探偵映画シリーズ「Vares」のボードゲーム版、なんてモノもあり、「大人向けボードゲーム」として宣伝されています。

最新のテレビゲームだってもちろん人気があるのに、なぜフィンランドではこんなにボードゲームの人気もあるのでしょうか?

和製メイドボードゲーム『たんとくおーれ』や『遊戯王』英語版も置いてあり、ボードゲームの輸入販売からパブリッシングまで手がけているお店「ラウタペリット」にお邪魔し、トニ・ニーッテュマキさんに訊いてみました。

 
フィンランドのボードゲーム事情2

首都ヘルシンキの繁華街にあるラウタペリットの店内。クリスマスを前に店員さんたちは忙しそうだ。

 

「フィンランドでボードゲームの人気が出てきたのは『カタン』や『カルカソンヌ』が出てきてからですね。それで人々が「ボードゲームは『モノポリー』みたいなものだけじゃないんだ、もっと奥が深いんだ」と気づき始めたのです。そしてなんといってもボードゲームにはテレビゲームにはないソーシャルなインタラクションがありますからね。友達と集まって遊ぶのにピッタリなんです。」

テレビでは最新の電子ゲーム『ボグルフラッシュ』のCMが流れているかと思えば、2005年に発売されたサイコロを使ってプレイする『インカンアーッレ』のCMまで流れていたりするのも、ボードゲームがみんなでワイワイ遊ぶのにピッタリなゲームだからでしょう。この『インカンアーッレ』は、1951年から不動の人気を誇る『アフリカンタハティ』というゲームのほとんどそっくりな続編です。その『アフリカンタハティ』の人気の程も、『アングリーバード』布団カバーと並んで『アフリカンタハティ』の布団カバーセットの広告があることからもうかがい知れます。

でも、一体どんな世代に人気なのでしょう、10代の子供たちもボードゲームに夢中なのでしょうか?


フィンランドのボードゲーム事情3

『アングリーバード』の横に『アフリカンタハティ』布団カバー。発売から60年のボードゲームをネタに布団カバーを作るなんて驚きだ。

 

「ボードゲームは子供よりも大人に、主に25歳から40歳ぐらいの方に人気ですね。あと、女性のお客様も多いです。これはこどもを持つ母親が、「子供がプレステで遊び、その父親が子供と一緒にプレステで遊んでいるが、母親はテレビゲームに興味がなくて手持ち無沙汰」といった状況を改善しようと、家族みんなで遊び楽しめるものとして「ボードゲーム」に注目しているのが要因のようです。」


フィンランドのボードゲーム事情4

ラウタペリット店内ではボードゲームを遊ぶこともできる。中には日本語を話す店員さんもいたりするのでフィンランドに足を伸ばした際はぜひ訪れてみよう。

 
ニーッテュマキさんによれば今年注目のゲームは、デンマークとノルウェーのゲーム大賞を受賞し、フィンランドのフィンランド年間ゲーム大賞にもファミリーゲーム部門でノミネートされた作品『モンド』だそうです。

フィンランドのゲーム大賞「ヴオデン・ペリ」は、フィンランドのゲーム業界団体が年間最優秀ボードゲームを選び出す賞。同じくボードゲームで有名なドイツにはその年最も優秀なボードゲームを決めるドイツ年間ゲーム大賞がありますが、それのフィンランド版といったらいいでしょうか。このゲーム大賞がフィンランドのボードゲーム人気を盛り上げるのに一躍買っているのも事実のようですが、ニーッテュマキさんはこんな話もしてくれました。

「ただ、ボードゲームを売る際に、ウチではコマーシャルは流しません。コマーシャルを見て買った人がいても、それが面白くなかったら次からはボードゲームを買わないでしょう? だから口コミを頼りにしているのです。友達が「面白い」というモノを遊んで、その本当の楽しさがみんなに広まっていく、そうやってボードゲームはフィンランドでの人気を確立してきたのです。」

でも口コミでしか広まらないからといって、ボードゲームファンが一同に会せる場所がないわけではありません。フィンランドで行われているアニメや漫画などをテーマにしたコンベンションは何度かKotaku Japanでも取り上げていますが、ボード/ミニチュアゲームやカードゲームを中心としたコンも年に4回ほど行われています。

その中のひとつ「ロペコン」では、テーブルトークRPGやモノホンのロールプレイゲーム、そしてボードゲームがメインとなっており、毎年3000人以上のファンが集まるそうです。

また、フィンランドにはミニチュアゲームやテーブルトークRPGファンにも居場所があります。PC/家庭用ゲームにもなった人気ミニチュアゲーム、『ウォーハンマー』などのミニチュアを作品を専門に扱ったショップも多数見られますし、TRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』やTCG『マジック・ザ・ギャザリング』を扱い、実際にショップ内でプレイできるところも存在します。

 
フィンランドのボードゲーム事情5

ラウタペリットのショッピングモールを挟んで向かい側にあるのは『ウォーハンマー』などで知られるゲームズワークショップのヘルシンキ店。

 
ボードゲームの人気についてフィンランド人に訊いてみれば「外が寒いからウチ遊びが盛んなのかも」、なんて冗談か本当かわからない説も飛び出たり。そんなボードゲーム好きな国民性の現れか、変わりどころではフィンランドのゲーム開発会社ロヴィオによる大人気ゲーム、『アングリーバード』なんかもボードゲーム化されてたりします。ボードゲーム版では、カードをめくり、カードに記してあるとおりに緑ブタと建造物を設置して、そこに鳥を飛ばして遊ぶようです。ボードゲームファンからは「ボードゲームづらした、ただの版権もの」と蔑まれている感もありますが、ボードゲーム版もやっぱり人気が高いようで、クリスマスを前に、近所のお店では品切れ状態となっています。

そして12月。午後4時には外は暗くなり、冷たく乾燥した風が吹き付ける。暖かい光に誘われて、DSの箱を大切そうに抱えた少年がカフェにやってきた。クリスマスプレゼントに買ってもらったのだろうか。

DSの箱の中から少年が取り出したのは...遊戯王カードだった。

 
トップ画像はPSN障害の記事でもお世話になった漫画喫茶「Amai Manga Cafe」で撮らせて頂きました。

(abcxyz)

本記事は年末年始の企画として、Kotaku JAPANスタッフのそれぞれに自由なテーマでコラムを書いてもらったものです。以下のリンクから、ほかのコラムもどうぞ!

 

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モンド(MONDO)


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ドラゴンズドグマ(数量限定特典『バイオハザード6』体験版用DLコード同梱)

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コメント(3)
user-pic

ボードゲームはドイツの方が(作品数が多い)ですね。
むしろフィンランドはTRPGがさかんと聞いた事があります。ロペコンはアマチュアコンベンションとしては世界最大規模ですし。

「「ロペコン」では、テーブルトークRPGやモノホンのロールプレイゲーム」...モノホンのロールプレイゲームって?

user-pic

今「でも」じゃなくて、新作人気作がどんどん出てる今の方が旬だろうに…。

user-pic

コメントどうもありがとうございます。そうですね、フィンランドでも「北欧ではボードゲーム流行ってるけど本場はやっぱドイツ」と考えている人が多いようです。TRPGが盛んでは在るようなのですが、今回カフェで会った人々に聞いてみると、プレイしない人たちから見ればやっぱりTRPGは敷居が高そうであるとともに、TRPGプレイヤー=コアゲーマー、といったイメージを持っている方が多かったです。

「モノホンのロールプレイング」、変な書き方ですみません。TRPGをはじめRPGゲームのように何かを媒体としてロールプレイするのではなく、身も心もキャラクターになりきって(コスプレして)演じる、「本格的なごっこ遊び」のようなものを指しました。

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